洛中図の一片を切り取ったかのような物語に
想いを馳せるひと時の愉しみ
それもまた友禅の魅力なのです
□手描き友禅/付け下げ地
白木周生-手毬
やわらかな、どこまでもやわらかな印象の付け下げです。 いわゆる“はんなりとした”との表現が適うのでしょうか。 辞書で「はんなり」を引いてみると“明るく、上品ではなやかなさま”とあります。 確かにそれはそれではんなりを言い得ているのかもしれないけれど、わたしの想うはんなりは “明るく、上品ではなやかなさま”を やわらかな薄い絹布でくるんだ風情、でしょうか。 つまり、様(さま-ようす)や表情を直截には見せない どこかゆかしさを含んだ様子がはんなりなのです。
さて、こちら、、。 地色に染められたのは“ひと肌色”でしょうか。この付け下げにやわらかな印象を与えているのは この「色」に在るのかもしれません。 「きもの」と言うかたちでなければ表せないかのような色目です。 洋装ではこのような色はあまり思い付かないのです。 やはり、「和」の色 しかも着物という和の装いでこそ魅力を放つような色なのです。 たとえば染められた地色が水色であったり 灰色であったりしても ひとつの絵として成り立つのだとは思います。 ただ、そこにはんなりとした印象を求めるとなると…。 艶やか、や雅やかな印象となったとしても“はんなり”とは微妙に印象が異なるように思います。 やはり他の色が入り込む余地はないように感じられるのです。
描かれているのは手毬(てまり)です。 いかにも都の友禅を想わせる意匠です。 むしろ意匠としてのお話に留まるのならば、付け下げに限らず 折々に遣われる意匠なのだと思います。 色とりどりの手毬は静かに置かれているかのようでそこに「動」の気配はありません。 あくまでもそこに静止している… でも、手を触れるといまにも こぼれ落ちてきそうなほど繊細な筆遣いです。 このような色数の遣われた友禅はときに煩い印象となりがちなのですが、こちらの付け下げにそうした印象を感じることはありません。 むしろこのたくさんの彩りははんなりとした印象を想わせる下地となっているのです。 言わば、“明るく、上品ではなやかなさま” である手毬の彩りを “やわらかなひと肌色がくるんでいる” のです。 要するに彩色のバランスが巧みなんですね。 つまりすべてが細やかに図られているからこそ“はんなり”とした印象となるのです。 艶やかで雅やかなだけではない、はんなりとした都の印象が色濃く伝わり来る友禅です。 洛中図の一片を切り取ったかのような、物語に想いを馳せる愉しみさえ感じられる秀逸な染色だと思います。
商品番号 |
TUKESAGE-SOME-00120 |
商品名 |
手描き友禅/付け下げ地 |
品質 |
絹100%/長浜縮緬・一等品 |
価格 |
¥273,000表地/税込) ¥322,000(袷仕立上げ/税込) ※一級和裁士による手縫い。 ※お仕立てに要する日数はご注文確定後 約三週間~25日戴いております。 単衣仕立てはお尋ねください。 |
巾/ 長さ |
※身長165cm位の方/裄一尺八寸五分位まで。 |
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